【意味のある仕事をデザインする】

おはようございます。
仲宗根です。

さて。
突然ですが、

「なんのために、これをやってるんですか?」

就労支援の現場で、利用者さんがポツリと口にした一言です。

……グサッと刺さりました。

いや、そりゃそうだよなって思うんです。
「封筒にチラシを詰める作業です」とだけ説明されたら、やっぱりどこかのタイミングで、「で?これって、何の意味があるの?」ってなります。

チラシ折りや箱詰めやシール貼りも、立派な仕事です。
だけど、そこの“意味”をちゃんと伝えているかというと…意外とおざなりにしている現場も多い。

「作業を用意してあげること」が支援ではない。
「誰かの役に立っていること」を実感してもらうことが、支援なんです。

これは作業じゃない。
これは、「人の生活をちょっとラクにしてあげる仕事」なんだ。
これは、「お店に並ぶ商品を輝かせる演出」なんだ。

たとえばチラシなら、「その一枚が誰かの“出会い”のきっかけになる」。
たとえばシール貼りなら、「その丁寧さが、お客さんの“信頼”を作ってる」。

意味を伝えるだけで、同じ作業が“誇り”に変わる。

「これ、ウチの利用者さんが作ったんですよ」って胸を張れる現場。
「これ、私がやりました!」って本人が言える現場。

それが、意味のある仕事であり、「未来につながる時間」なんだと思うんです。

……とはいえ、これはなにも就労支援の現場に限った話じゃありません。

サラリーマンだってそうです。
どんなに高い給料をもらっていても、「なんのためにやってるか分からない」仕事って、だんだん心が削れていく。
逆に、給料がそこまで高くなくても、「ありがとう」が飛び交う職場って、なぜかみんな前向きに働いてる。

つまり、“意味”が人を動かすんです。

だから僕らは、仕事を「作業」として提供するだけじゃダメで、
その作業が「どこの誰に、どう喜ばれているのか」を、ちゃんと伝えるべきなんです。

これは、「支援」じゃなくて、「演出」の話です。

僕ら支援者は、舞台監督みたいなもんだと思うんです。
主役は利用者さんで、僕らは、その人がちゃんと「スポットライトを浴びる場所」を演出する。
その人がやったことが、拍手に変わるように設計する。

「誰かの役に立ててる」
「自分はここにいていい」
「自分の時間には価値がある」

それを感じられる毎日があれば、人は変わります。

「この作業、昨日より1秒縮められた」
「昨日よりちょっとキレイに折れた」
そんな“小さな成長”が、やがて“大きな自信”になります。

そもそも、仕事って、誰かの役に立つためにあるんです。
だから、「やらせてあげる」じゃない。
「一緒に社会に参加していく」って感覚で、現場をつくっていかないと。

「この仕事、面白いですよ」
「これ、結構すごいことやってるんですよ」

そんな一言があるだけで、利用者さんの目の色が変わる瞬間があります。

「意味のある仕事」って、実は、ほんのちょっとした工夫で作れるんです。

「ありがとう」を集める設計にする。
「やってくれて助かった」と言われるタイミングを設ける。
「あなたじゃないとダメだった」と伝える。

そういう演出が、仕事を「自分ごと」に変えるんです。

僕らが目指すのは、「ただの作業所」じゃない。

利用者さんが、自分の役割を見つけて、誇らしく働ける場所。
「働く意味」や「社会との接点」をちゃんと感じられる場所。

それが、次の就労支援のカタチなんじゃないかと思います。

以上。現場からでした。